3問目以降はしばらく4択となる。3問目は「朝、ある特定の時刻に起きなければならないとき、(目覚めるために)どの程度目覚し時計に頼りますか」という問題である。「まったく頼らない」(Not at all dependent)が4点、「あまり頼らない」(slightly dependent)が3点、「わりに頼る」(fairly dependent)が2点、「たいへん頼る」(very dependent)が1点となっている。朝型であれば、目覚まし時計に頼らなくても起きやすい、という意味合いである。しかし、slightly dependentを「あまり頼らない」と訳するのは不正確ではないか。slightlyは「あまり○○ない」とは違って肯定的な意味なので訳すなら「少し頼る」「やや頼る」などであろう。この辺りの訳語の選び方にも注意を払うべきであった。これはこの後の質問も同様である。
8問目は「次の日、まったく予定がないとすれば、あなたは寝る時刻をいつもに比べてどうしますか」であり、「遅くすることはほとんどない(まったくない)」が4点、「遅くしても1時間以内」が3点、「1-2時間遅くする」が2点、「2時間以上遅する」(原文ママ)が1点となっているが、やはり丁度1時間、2時間遅くするという人はどこに入るのか不明確である。英語版では「less than one hour」「more than two hours」となっているので、「遅くしても1時間未満」「2時間超遅くする」と明確に書くべきである。
9問目は「何か運動をしようと思いたちました。友人が『それならば、週2回1時間ずつで、時刻は午前7時から午前8時までが一番いい』と助言してくれました。あなたの体調が最高と思われる生活リズムだけを考えると、それをどの程度やりぬけると思いますか」である。これは英語版も含めて悪文の典型である。普通、アンケートでは友人が助言した、などと余計な要素を入れて質問文を長くするべきではない。「週2回、午前7時から午前8時まで運動するとします。あなたの(以下同じ)」で十分である。選択肢は「完全に実行できる」4点、「わりに実行できる」3点、「実行するのは難しい」2点、「実行するのはたいへん難しい」1点である。ここで、英語版では「would be on good form」、「would be on reasonable form」などとなっているが、「難しい」という表現を用いるなら4問目と同じく「容易」(easy)という表現を用いるべきであった。仮に英語版が意図してそのような表現を用いているなら、「完全に」ではなく「よく」程度の表現に留めておくべきであった。
10問目は「あなたは、夜、何時になると疲れを感じ、眠くなりますか」であるが、質問の意図が分からないし、2問目と重複しているので削るべきであろう。「疲れを感じ、眠くなりますか」(英語版ではand as a resultという表現を用いている)と言うからにはこの質問は疲労による眠気を問うていると考えるべきである。しかし、この質問紙は体内時計の朝型・夜型を問うものであり、そこで眠気について質問するからには夜になったことによる眠気を問うのが普通である。そして、回答した時刻と点数の関係も2問目とほとんど変わらず、2問目と同様の問題が発生している。唯一、3点と2点の境界が午前0時30分から0時45分になっているが、眠気を感じたら寝る、というのが自然である以上これは誤植の可能性が高い。すなわち、この質問の内容は2問目とほぼ完全に重複しているのである。残すのであれば、全体を1時間繰り上げるくらいのことはすべきであるし、「疲れを感じ」という表現は削るべきである。